自分の内面とまっすぐ向き合う。自立と尊重のパートナーシップとは【Liv:ra 小森優美さん】

 

移り変わりゆく、四季折々の景色ーー

 

季節が変わるたびに、日本の「四季の豊かさ」に改めて気付くことがあります。

 

草木や花は、私たちの日々に彩りを与えてくれています。

 

季節ごとのイベントであったり、旬の食材をいただいたり。私たちは暮らしの中で、豊かな自然の恵みをたっぷりと受け取っているのです。

 

 

本記事のテーマとなる「草木染め」も自然の力を私たち人間に分け与えてくれる伝統技法の一つ。植物がもつエネルギーを最大限に活かした日本の「草木染め」の起源を辿ると、縄文時代にまで遡るといいます。

 

今回お話をお伺いしたのは、草木染めランジェリーブランド「Liv:ra(リブラ)」の代表•小森優美さん。2010年に株式会社HighLogicを設立し、2013年にランジェリーブランド「Liv:ra」を立ち上げました。

Liv:raでは、シルクやオーガニックコットンなどの天然素材を使用した、美しくて色鮮やかなランジェリーを展開しています。みずみずしい天然の草花と「新万葉染め」という技術を用いて、京都の職人さんによって一つひとつ手染めで作られているといいます。

 

「花の命を着る」というコンセプトのもと、自然の恵みと伝統文化がぎゅっと詰まったLiv:raのランジェリー。今回はデザイナーとしてブランドを手掛けている小森優美さんにお話をお伺いしました。

 

働くなかで感じた、ファッション業界の「違和感」

 

もともと、ファッションの専門学校に通っていたという小森さん。卒業後、大手のファストファッション企業で働く中で、洋服の廃棄や生産過程に対して、さまざまな疑問が生じていたといいます。

 

 

当時はエシカルやサステイナブル、SDGsという言葉が注目されていることもなく、近年のようにファッション業界の在り方や、洋服の生産にかかるエネルギー、廃棄量などに対して声をあげる人がほとんどいなかった印象だといいます。

 

働く中で感じていた「違和感」を晴らすためにと、独立を決めたのは2010年。独立後すぐにブランドを立ち上げたのではなく、それまでの経験とスキルを活かして、株式会社HighLogic としてネットショップを立ち上げ、自分の思う洋服づくりをスタートしました。

 

作りたいものを追求し続けたら、草木染めランジェリーに。

 

大きな転機となったのは、2011年3月に発生した東日本大震災。

 

震災を機に「自分がどうなっていきたいか」ということを、一から見つめ直す時期に直面したといいます。

 

ファッションを通して自分に何ができるのか

どうなっていきたいかーー

 

震災から約2年、沢山考え、模索しながらたどり着いたのが「草木染めランジェリー」でした。幅広いファッション分野の中から「草木染め」「ランジェリー」というカテゴリに決めた理由についてお伺いしました。

 

 

小森さん:

「私自身、昔からカラフルな洋服や柄ものの洋服が好きでした(笑)ブランドを立ち上げて洋服を作っていくのなら、自分の好きな服を作りたいと思っていました。

 

でも、カラフルな洋服を作るときに問題となるのが、化学染料。もともとダイビングが好きだったこともあり、ファッション業界が排出する化学染料が海を汚染してしまっているという事実も知っていました。そこでカラフルな発色、且つ環境にも負担をかけない方法を探していた時に出会ったのが『草木染め』でした」

 

 

草木染めを学んでいくにつれて植物のもつ効能や伝統技法に、どんどん魅了されていったといいます。中国から伝わったという伝統的な草木染め。植物の力を借りて染色した衣服は「薬」としての役割をもち、昔の人々は、植物の効能を期待していたとも言われています。

 

着飾るためではなく、自分を守るためーー

 

先人たちの知恵が詰まった「草木染め」の背景に、小森さんは大きく共感したといいます。

 

 

「せっかくなら、肌に直接触れる洋服を作りたい」という想いが、ランジェリーブランドとして確立した一つの理由だといいます。

 

肌と密接に触れる草木染めのランジェリーは、心身と自然がつながる大切な役割を果たしています。身体を温める効果や、血流、消化促進、リラックス効果をもたらすなど、草花の種類によってさまざまな効果が期待できるそう。

 

 

2000年前から継承されているという「草木染め」には、先人たちの知恵や自然への敬意が込められていることが分かります。植物のもつ薬効成分と、文化を受け継ぐことに対する小森さんの想いこそ、Liv:raにリピーターファンが多い理由なのかもしれません。

 

 

自由を選ぶために必要な、意志と責任。

 

ランジェリーを通して、心身や環境に対して「より良い選択」を伝え続けている小森さん。

 

ずっと働いていたアパレル企業から独立を決めた後、ブランドを運営されながらも様々なフィールドで活躍されています。一般社団法人TSUNAGUの代表理事を務めたり、養蚕や畑仕事などにも力を注いでいるといいます。

 

そんな中で「自分軸が揺らがないように意識していること」について、お話をお伺いしました。

 

 

Q. インターネットやSNSの拡大により情報や選択肢の多さ、自由が故に疲弊してしまう人も多くみられるように感じます。そんな中でも、自分の軸が揺らがないように意識していることはありますか…?

 

小森さん:

「情報が多い社会の中で、自由になれることに対する責任と意志が大切なのではないかなと思います。

 

SNSやネットの社会は、キラキラしている人が多いように見えるけれど、良い仕事を積み重ねている人は、実際は見えないところでストイックに、地道に努力をし続けているのだと思います。『自由』を選択することは、自分勝手になんでもする訳ではなく、より良い社会のために好きなことで貢献し続けることでもあると思うので、常に自分と向き合い続ける必要があると思うんです。

 

自由にやりたいことをやっていくという意志を貫き、同時に自分の内面と向き合って、社会への貢献者として謙虚に必要な努力をすることが、不要な情報に振り回されないために一番重要なのではないかなと思います」

 

 

パートナーシップは、自立と尊重を大切に。

 

haiweddingが大切にしているテーマの1つでもある「パートナーシップの在り方」についてもお話をお伺いしました。

 

Q.先ほどの「選択肢の自由」にもつながりますが、国内でも少しずつ、教育やジェンダー、働き方などに対する多様化が進んできています。そのような中で、小森さんの考える「パートナーシップの在り方」について教えてください。

 

小森さん:

「自分自身が自立すること、そして相手の存在を尊重するということは、常に心掛けるようにしています。

 

それは、恋愛や結婚といったパートナーシップだけでなく、友人や仕事相手などの人間関係においても共通することだと思います。相手に過剰に求めたり、相手を変えたいと思うのではなく、そのままの状態を受け入れることが大切。

 

そのためにも、まずは自分がしっかりと自立していること。そして、お互いが自立している状態が確立してからこそ、相手の存在を尊重することが出来るのだと思います。もちろん、どちらかが『我慢する』ということではなく、意見が違った時は『話し合い』を通して、良い方向に進んでいく関係性を大切にしていきたいです」

 

 

最後に、今後の活動についてお話をお伺いしました。

 

小森さん:

「ここ3年ほどで、自然と人のナチュラルな繋がりを自分の中でも感じる機会が多く、この繋がりを『日本の文化』として、世界に向けて発信していきたいという想いが強くなりました。

 

今すぐに、というよりは何年もじっくり時間をかけながら新しいブランドを作りたいと考えています。ファッションを通して日本文化を伝え、モノづくりの原点に気付くきっかけを生み続けていきたいです。

 

もちろん、日本国内に向けての発信も継続していく予定です。特にLiv:raではランジェリーを購入するだけでなく、草木染めキットを通して『文化を体験してもらう』ということも大切にしています。

草木染めキットを使うことで消費だけでなく、文化を同時に伝えられるということもLiv:raの大きな魅力の1つだと思っています。消費者から実践者として、日本文化を楽しんで頂けるように、お客さま自身にも草木染め文化を体験して頂けたら嬉しいです」

 

 

使うたびに色が変化していく過程も、天然の植物を使った草木染めならではの楽しみ方。色の変化を楽しみつつ、自分自身の手で染め直すことで、日本文化に対する関心が高まっていきそうですね。

 

心と身体を包む、草木染めランジェリー

 

今回は「Liv:ra」の草木染めランジェリーを手掛ける小森優美さんにお話をお伺いしました。

 

植物と人間のつながり、日本の文化を継承していきたいという小森さん。

 

想いやパッションを明確にし、常に自分自身と向き合っているからこそ、社会の移りゆく変化やパートナーシップに対しても、まっすぐ向き合うことが出来ているのだと分かりました。

 

小森さんの想いがつまった、心身を癒す草木染めランジェリー。

 

ぜひ皆さんもLiv:raのランジェリー身につけて、素敵なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

小森優美

YUMI KOMORI

 

社会起業家/エシカルファッションデザイナー

 株式会社HighLogic代表取締役

一般社団法人TSUNAGU代表理事

 

草木染めシルクランジェリーブランド”Liv:ra(リブラ)”の起業家/デザイナーとして自身の自己表現を探求すると同時に、工藝文化を通して流域全体における経済の循環デザインを展開するため自身も植樹や養蚕業に挑戦中。一般社団法人TSUNAGUやEcologicalMemesあいだラボでは「心の変容から起こる社会変革」をコンセプトに個人の心の変容から起こっていく本質的な社会変革を促す実践的な場を企画・運営。

幸せな感覚から生まれる直感的なインスピレーションに従って、プロダクトデザイン、システムデザイン、プログラムデザインなど、デザインワークを軸に多分野で活動する。

 

ホームページ:https://www.liv-ra.com

Instagram:https://www.instagram.com/livra_japan/

 

 

インタビュアー プロフィール

 

Reina
2000年東京都出身。

lala slowlife / WEBメディア「FLAT.」編集長

高校時代にH.O.P.E.の一員として活動し始めたことをきっかけにエシカル消費をライフスタイルに取り入れる形で発信している。大学進学を機に生まれ育った東京を離れ、自然豊かな九州へ。休学後、京都での生活を経て、「心の豊かさと自然の繋がり」を改めて学ぶ。心地よい暮らしをテーマに四季や五感を取り入れながら、”感覚を言語化する”ことを大切に、様々なカタチで表現している。

 

HP : https://lala-slowlife.com/

Instagram : https://www.instagram.com/lala_slowlife/

FLAT.公式サイト : https://flat-media.net/