大切なものを詰め込んだFairtrade Wedding【フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長 潮崎真惟子】

 

 
コロナによる延期を経て、もっと自分たちを表現する式へ

 

私たちが結婚式を挙げたのは2022年4月。コロナ禍により3度の延期を重ねた結果、最初に式場を予約した2019年春から3年越しの挙式となりました。

その結果、通常よりも結婚式の準備期間がとても長いもので(笑)。

延期を続ける間にも自分たちのキャリアや考えが発展していき、もっと自分たちの在り方を表現できる式にしたいと考えるようになりました。

私は子どもの頃から、途上国の貧困問題に強い関心がありました。

特別なきっかけがあった訳でもなく、ただ漠然と「どうして生まれる場所が違うだけで…」とどうしても気になり、途上国を支援する仕事を志すようになっていました。

2021年からはフェアトレード・ラベル・ジャパンというNGOの事務局長を務めています。

フェアトレードは、途上国から原料を適正な価格で買い取り、途上国の貧困やジェンダー問題、環境破壊などの解決に向けた支援を行う仕組みです。フェアトレードの商品には、チョコレートの原料のカカオや、コーヒー、紅茶、コットンなど、色々な種類があります。まさに結婚式に所縁のある産品も沢山あるので、取り入れてみようと思いました。

      

 

「フェアトレード」を散りばめたウェディング 

  

実際に私の結婚式では、まず引き出物にフェアトレードのコットンのタオルを入れました。東京の青梅の老舗タオルメーカーのホットマンのもので、とても品質が良く引き出物にぴったりでした。カタログギフトも、エシカルな商品を中心に扱っている「やさしいきもち」シリーズを選びました。

 

披露宴のお色直しのあとのテーブルラウンドでは、キャンドルサービスなどではなくて、フェアトレードのミニチョコレートを配る、というイベントをしました。アフリカのガーナの昔の王国(アシャンティ王国)の象形文字がデザインされた、可愛くて美味しいチョコレートDivineです!私自身がガーナに行ったことがあるのも選んだ理由です。式場の方がおしゃれなカゴを用意してくれたので、カゴにカラフルなチョコレートを沢山入れて、友人や家族に配るのは楽しかったです。

 

予想外だったのは、チョコを配りながらテーブル毎に写真を撮ろうとすると、みんな自然とチョコレートを持ってポージングしてくれたことです。子どもからおじいちゃんまでチョコを持ってポーズしてくれるのは可愛くて。私が大切に想っているものを、みんなが手に持って写真を撮れることは、なんだか感動でした。

テーブルラウンドの後は、新郎新婦からのプレゼンテーションコーナー!ということで、夫と一緒にフェアトレードについて説明しました笑。実はこれは夫の発案で、事前に内容も一緒に考えてくれたことは私にとって嬉しかったことの一つです。彼自身も「いまお手元に配ったチョコレート、実は…」とノリノリで話してくれました。フェアトレードのプロモーション動画を流している間は、披露宴会場が一瞬セミナー会場に見える、少々シュールな状態でした笑。

  

そして披露宴の最後のお見送りのプチギフトも、フェアトレードのチョコレートボックス。ベルギー王室御用達ブランドGallerのチョコレートで、とても美味しくて可愛くておすすめです。後日、参列してくれた(普段辛口の)友達が「あのチョコ美味しかった!」と言ってくれてとても嬉しかったです。

 

披露宴の中で配ったフェアトレード商品について解説のオリジナルチラシをつくって、引き出物袋に入れておきました。商品の背景のストーリーを知ってもらいたくて。Canvaというアプリで簡単におしゃれなデザインをつくれて有難かったです。

    

自分たちの今を伝えること、感謝を伝えること

  

式を挙げる前は「自分の価値観を詰め込んで、独りよがりにならないかな」と一瞬不安になったことも正直ありました。でもたった一度の自分たちが主役の場なのだから、自分の好きなものを詰め込めんで良いんだ、むしろそうした方が良いんだ、と今は自信を持って言えます。

 

参列してくれた友人や親族たちからは「まいこたちが大切にしているものが伝わる式だったよ」「夢を持って頑張っているんだなと感じた、あたたかい気持ちになった」と言ってもらいました。 沢山の大切な人たちと一緒に過ごし、育ててもらったおかげで、今の私の価値観がある。今の私の夢が育まれて、今の生き方に辿り着いている。だから、「自分たちらしさ」を伝えることも、大切な人たちへの感謝を伝えることと繋がっていると思うんです。私は、フェアトレードのものを大切に想える自分を、大事にしたいし、そう育ててくれた両親に、多くの周囲の人たちに心から感謝しています。

     

また一方で、もっとエシカルな要素を入れたいのにな、と思うこともありました。式場にはそれぞれのルールがあり、ドレスや生花の持ち込みは出来なかったり、飲食物も変えられなかったりします。でもそれは仕方のないことですし、式場側にも事情はあります。

だから大切なのは、完璧にこだわり過ぎないこと。食品でもフェアトレードの割合がまだ1%にも満たないこの日本では、例えば10個のうち1個でも変えてみることが、大きな変化なのです。

1つでも2つでも、自分が本当に素敵だと思うエシカルを入れてみる。そうして、自分が大切にしたいものを表現し、大切な人たちに感謝とともに贈ること。それが私のおすすめするエシカル・ウェディングです。

 

ライタープロフィール

潮崎真惟子

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長

幼少期から国際協力に携わることを志し、デロイト トーマツ コンサルティングを経て2021年に事務局長に就任。大企業から市民団体等も巻き込んだ国内のフェアトレード普及活動を推進。『児童労働白書2020』等執筆。オウルズコンサルティンググループ マネジャー。一橋大学経済学部卒・経済学修士。

    

公式HP:https://www.fairtrade-jp.org/  

インスタグラム:https://www.instagram.com/fairtradejpn