NYで一から作る、サステイナブル ウエディング【パーソナルスタイリスト カリあすか】

 

皆さんこんにちは、パーソナルスタイリストのカリ あすかです。

 

ニューヨークでパーソナルスタイリングを通して、あなたらしさを大切にした、地球にも人にも優しいオシャレの楽しみ方を提案しています。

 

いつか結婚式を挙げる時がきたら、丁寧な服作りや地域を大切にできるようなことを取り入れたいと考えていたのですが、数年前にそんな小さな夢が叶い、ささやかながら、できる範囲でサステナビリティを取り入れた、ゲストの方たちと一緒に楽しめる結婚式を挙げることができました。

 

婚礼衣装、会場、食事から装飾まで、すべて自分たちの好きなようにプランを立てることができる、ニューヨークのウエディング。自由度が高い分、プランニングには楽しさと大変さの両方があったのですが、私たちが悩み抜いて選んだことが少しでもエシカルウエディングについて考えていらっしゃる方の何かヒントになればと、初めて私たちのウエディングについて綴らせていただきました。ウエディングには様々な形があるので、こんな形もあるんだなと気軽な気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

 

結婚式の会場は、歴史ある場所や街並みが残ることを願いながら

 

 

年々物価が上がるニューヨークではお店の移り変わりが早く、何十年と続くお店も相次いでお店を閉じています。加えてレンガ造りの古い建物は壊され、近代的なガラス張りの建物が建設され、街並みが瞬く間に変わっています。地域ごとに色濃い特色があったマンハッタンも、その地域らしさがあまり感じられなくなってきていると嘆くニューヨーカーたちもたくさんいます。夫婦ともに長年暮らすニューヨークの歴史ある街並みを残していくために、少しでも何かできればと思っていたところ、結婚式の会場として利用させていただける、素敵な歴史的建造物に出会うことができました。

 
1800年代の建築や内装、インテリアがとても美しかったので、用意いただいた椅子と持参したウェルカムボード以外は手を加えず、建物のそのままの美しさをゲストの方たちにも楽しんでいただけるようにしました。
結婚式に参加をした友人たちも、「ニューヨークで生まれ育ったけど、こんな素敵な建物が1800年代からずっと残っているなんて知らなかった! ここに来ることができて嬉しい!」とこの場所に出会えたことを喜んでもらえ、私たち夫婦だけではなく、ゲストたちも特別な気持ちを味わうことができた、思い出に残る式となりました。

    

大切な日だから、自分らしくて、サステイナブルなウエディングドレスを

 

   

普段服を選ぶ時に気にかけていることがいくつかあって、見た時、着た時に心がワクワクするか、そして来年も、数年後も着たいと思えるかというのもそのうちの2つなのですが、ウエディング衣装はどれも心が躍るような美しさですよね。数あるブランドやウエディング衣装から一つに絞るのはなかなか大変なので、自分の中で外せないポイントを決めてから探してみることにしました。

 
私が大切にしたポイントは、こちらの7つです。

 

・ドレス作りに携わっている方々の労働環境に配慮されている
・地球に優しい、サステイナブルな物づくりを心がけている
・ローカルに(現地/地元で)作られている
・レースが施されたロングスリーブ
・体型に合っている
・自分らしい

・白色のドレス

  

ウエディングドレスに選んだのは、ニューヨークにあるアトリエと、アトリエ近くの工場でドレス作りをされているブランドのものです。サステイナブルな素材を使い、布の切れ端はリサイクルし、縫製労働者が働きやすい環境を保証して、見た目が美しいだけではなく、心から着ることを楽しめるドレスを作っていらっしゃいます。このドレスは首元や袖を中心に繊細で品のあるレースがバランスよく施されているのが素敵で、心惹かれた一着です。無地のドレスの上に、透け感のあるドレスを重ねたスタイルなので、中に着るドレスの丈を短くしたり、色味のあるドレスと変えて合わせてみたりすることで、また一味違った雰囲気を楽しめそうなのも、お気に入りのポイントです。

 

大切にしたいポイントを事前に考えておくことで、想像以上にスッと決めることができて、驚きました。悩んでなかなか決められない!という方も、譲れないポイントを頭の片隅に置きながら探してみると、特別な一着を決めやすくなるかもしれません。

   

メイクはクリーンビューティで、お肌にも地球にも優しく

 

 

サステナビリティはファッションだけではなく、生活に関わる様々なことに繋がっています。お化粧品も然りなので、いつも極力生産過程や成分に配慮して作られたクリーンビューティ*を選ぶようにしています。そのため、結婚式の際もぜひオーガニックコスメやサステナビリティに関心のある方にお願いをしたいという思いが強く、長年お世話になっている方にお願いして、天然由来の成分でできたお化粧品を使ってメイクをしていただきました。

*クリーンビューティ: 健康や環境に有害な成分を含まず、動物実験を行なっていない、天然成分からできた美容アイテムのこと

 

小物はヴィンテージアイテムで、古き美しき物を受け継ぐ

  

 

指輪交換まで指輪を置いておくのに、リングピローを二人のイメージで作っていただくのも、手持ちの余り布で作ってみるのも素敵ですよね。作ろうかどうしようかと悩んでいたところ、偶然ヴィンテージの小物入れに出会いました。会場の色や雰囲気にもぴったりな小物入れは、蓋の部分がガラスでできているので、上から見ることができるのもまた特別感があって、心惹かれました。
 
そして、結婚式で花嫁が身につけると幸せになると言われている4つのもの、和製英語でサムシング フォーと呼ばれる、Something Old(何か古いもの)、Something New(何か新しいもの)、Something Borrowed(何か借りたもの)、Something Blue(何か青いもの)。そのうち、サムシングブルーには、母が20年以上昔に使っていたイヤリングを選びました。深みのある青が特徴的なイヤリングは、ドレスを引きたて、会場の雰囲気にも合っていて、ポイントとして青色を取り入れるのにとても良かったです。青色を目が入りやすいところに差し色として使うことで、ウエディング衣装の美しい白が、より一層際立ったような気がします。

 

お料理は、ゲストの食事法やゼロウェイストに配慮して

 

 

挙式後のお食事は場所を移動して、いつもお世話になっているレストランをお借りしました。料理は私たち新郎新婦やゲスト同士が気軽に話せるように、そして人によって食の好みや食事量が違うので、一人ひとりが食べ切れる量を取れるように、ビュッフェスタイルを選びました。夫のルーツの一つであるイタリアの要素を取り入れたいという思いから、イタリア人が経営するイタリアン レストランで、ベジタリアンのオプションも用意していただきました。ベジタリアン、フレキシタリアンなど、それぞれの食事法に合ったお料理を皆で楽しむことができて良かったです。

 

全てトングで取り分けるようになっていたので、残ったお料理は包んでいただき、欲しい方に持ち帰っていただくことで食の廃棄を減らすことができたのも、ビュッフェ式の良さでした。

 

 

ウエディングケーキも余って捨てられてしまわないようにサイズを考え、配置で立体感と特別感を出せるようにしました。ケーキも余ったものは持ち帰り、皆ですべて美味しくいただくことができました。

ケーキを置いた台は、その後ホームパーティーで料理を乗せたり、娘の誕生日のお祝いの際に使ったりと、大活躍しています。

 

 

レストランでは自由に装飾をさせていただけたので、できる限りミニマルになるように、花瓶を揃えてお花を活けることにしました。元々2人ともヴィンテージのものが好みなので、一緒にヴィンテージのガラス小物を取り扱うお店を巡り、ブルックリンにあるお店で同じ形で数がある素敵な花瓶に出会うことができました。乳白色の花瓶は、その色のようにミルクグラス(Milk Glass)と呼ばれるもので、柔らかい白が会場を明るく華やかにしてくれました。当日は2種類のお花を活けたのですが、一輪挿しとしても素敵なので、今も大切に使っています。また、花瓶に活けたお花は持ち帰り、ドライフラワーにして飾っています。

 

ゲストへのギフトは、ローカルに作られた物を

 

 

ゲストへのギフトはニューヨークで作られていて、生活の中で気軽に使ってもらえそうな物にしようと、ニューヨーク市のブルックリンで作られたソイキャンドルを選びました。香り物は好みがあるので、最後まで悩んだのですが、キャンドルを使うたびに楽しかった結婚式を思い出すという言葉をいただけて嬉しかったです。好みだったから家族にも勧めたり、自分でもリピート購入をしたという方もいらっしゃったり、心ばかりのプレゼントでしたが、地元で作られたものにふれるきっかけを作ることができて、何よりでした。

 

これから結婚式を迎える皆さまへ

 

結婚式から披露宴まで一から決めるのは楽しくもあり、難しくもあったのですが、2人で友達や家族、そしてそれぞれが生まれ育った場所や地球を思いながらプランを立てたウエディングは、数年経った今でも大切な思い出として心に残っています。他にも今回書ききれなかったことや、サステナビリティという点で取り入れたかったこと、もっとできることがあったかな、と思うこともありますが、当時の私たちができる範囲で地球にも人にも優しいことを考えて作り上げた、人生の一大イベントとなりました。
これから結婚をお考えの皆さんも、心地よく始められることからサステイナブルなことを取り入れながら、おニ人らしさをたくさん詰め込んだ、一生の思い出に残る、最高の結婚式を迎えられることを心から願っています。

   

ライタープロフィール
カリ あすか

ニューヨークを拠点とする、パーソナルスタイルコンサルタント。NYのFIT(ファッション工科大学)にてイメージコンサルティング科を修了。

2012年に、(服の生産地で知られる国の)ある川の色を見るとその年のトレンドカラーがわかる、という衝撃的な記事を読んだことがきっかけで、ファッションに関わる環境問題や過酷な労働環境があることを知り、サステイナブル、エシカルファッションに出会う。以降、ニューヨークからパーソナルスタイリング、執筆、音声メディアを通して、あなたらしさを大切にした、地球にも人にも優しいオシャレの楽しみ方を提案している。また、国連やファッションレボリューションをはじめとしたフェアトレードや環境に優しい服づくりなどをテーマにした、ファッションのサステナビリティに関するカンファレンスやイベントに参加、運営に携わる。

   

instagram:https://www.instagram.com/asuka.m.style/